高周波漏れ電流
前回漏電遮断器の交換作業を書きましたが、今回はその原因についてです。
漏れ電流には、主として絶縁劣化に関係するものと、高周波成分を含んだものの2種類があり
今回は高周波成分を含んだ漏れ電流のお話しです。
この工場では漏電トリップを起こした日の前日に新設のNC機械を設置しました。
設置する前日までは問題なく工場は稼働しており、設置翌日の朝から試運転を始めたのですが、
始めた直後に漏電トリップが起きました。
お客様からの電話での説明と、弊社で事前に電気工事を行った際の古い漏電遮断器の
状態から電源ラインの漏電は考えにくく、新設NC機械から漏れ電流が発生しているのではな
いかと考え応急対応しました。
後日改めて漏れ電流計を用いて新設機械の測定を行いました。
この漏れ電流計は、機械の速度制御などに用いられるインバータ等から発生する高周波漏れ電流
をカットする機能を備えたものです。
測定結果は 通常モード測定で 0、098A=98、0mA
高周波電流カットモード測定で 1、9mA
の測定結果となりました。
お客様に設置してあった漏電遮断器は、年式の古い漏電感度電流30mAの物であり
測定結果の98mAではトリップしてしまいます。
感度電流を上げた遮断器か、高周波漏れ電流をカットする高調波対策の遮断器を設置
する必要があるわけです。
インバータが普及し始めた20~30年前は、こうした事例は度々起こったのですが最近は
少なくなりました。
機械が稼働(回転)している時だけ工場内に設置してある漏電警報器が鳴った事など
当時を思い出します。
機械も新しい技術で便利になりましたが、その一方で起こり得る副作用の対策も講じていく
必要があります。
2016年04月06日